hideの先見性の凄さを改めて考えてみた
hideの最後のフルアルバム「Ja,Zoo」に収録される予定で未完成だった「子 ギャル」という楽曲が2014年12月に新曲としてリリースされるという。(hideのボーカルはなんとVOCALOID!)
「子 ギャル」自体は1998年、hideの逝去後に行われた「TRIBAL Ja,Zooツアー」ですでに披露されている楽曲だが、CHIROLYNボーカルでhideボーカルが聴けるだけでもとにかく楽しみなのである。(故人の意思とは関係なくVOCALOIDで新曲発売というのは、先日のMTVのマイケル・ジャクソンのパフォーマンスの時も違和感を覚えけど、純粋に新曲が聞けることを喜ぼうと思う。)
今回の新曲発売を前に改めて「Ja,Zoo」を聞いていたのだけれど、1998年発売のアルバムとは思えないほど先進的なアイデアが詰まっていて、むしろ今の時代の方がマッチするんじゃないかと思えるほど素晴らしいアルバムだった。
特にピンクスパイダーは今のスマホ時代に痛烈なメッセージを残す楽曲だと思う。
ピンク スパイダー (STUDIO LIVE) - YouTube
hideが亡くなった1998年当時、ピンクスパイダーはhideの死を暗示しているとして妙なクローズアップのされ方をしていて、hideをそんなに知らない人にとっては、そういうイメージが未だにあるかもしれない。ただhideの逝去する直前のインタビューなどを見ると、ROCKET DIVEからever freeまでのシングル3曲で三部作とされていて、死のメッセージが込められていない事は明白だ。
ROCKET DIVEで「どんどん飛び出していこうぜ!」とたきつけて、ピンクスパイダーで「でも飛び出した世の中はそんなに甘くはないぜ」と現実をみせ、ever freeで「それでも可能性を信じて進んでいこう!」と励ましている。
確かにピンクスパイダーの歌詞を見ると、所々挫折したような表現もあるけれども、
そもそもピンクスパイダーは「WEB」の事を歌った歌でもある。(ピンク=妄想、スパイダー=WEB(蜘蛛の巣)という意味)
ピンクスパイダーをWEBの世界に起きている事として見ると、歌詞に違った一面が見えてくる。
君は 嘘の糸張りめぐらし 小さな世界 全てだと思ってた
近づくものは なんでも傷つけて 君は 空が四角いと思ってた
私の翼を使うがいいわ、スパイダー。
飛び続けるつらさを知らないあなたも、
いつか気が付く事でしょう。
自分が誰かの手の中でしか飛んでいなかった事に。
そして、それを自由なんて呼んでいた事にも…。
WEB、今だとスマホで世の中のある程度の情報は得られる。でもそれは自分の経験したことではなく、知った気になっているだけだ。それでもhideはピンクスパイダーの最後で希望を見出す。
わずかに見えた あの空の向こう
鳥達は南へ
もう一度飛ぼう この糸切り裂き
自らのジェットで
最後は自分の力で世の中戦っていこうぜ!という所からever freeに繋がっていくのだけれど、この曲が発売された1998年ってインターネット、まだまだ一般的には普及していなかったことを考えると、改めてhideの先見性に驚かされる。まるで今の世の中を暗示しているような世界観だ。
(ちなみにアルバム「Ja,Zoo」の最初のTracはインターネットに接続する音から始まる)
よくよく考えると、Windows95が発売されて、インターネットが家庭でも気軽に楽しめるようになった当初から、かなり積極的に使いこなしていた印象もあるし、もし、今hideがいたら、想像出来ないほど進化した技術を使って、どんな面白い世界を見せてくれたのかと考えたら少し寂しい。
今回の「子 ギャル」発売で、hideの音楽が再度評価されることを望みます。
(ちなみに初回限定盤にはVideo Clip集が付いてくるのですが、値段もそこまで変わらないのでそちらが絶対オススメ!)